ストレスチェック実施に伴うQ&A

制度全般について

 Q1-1 法に基づく第1回ストレスチェックは、法施行後いつまでに何を実施すればいいのでしょうか。

A 平成27121日の施行後、1年以内(平成281130日まで)に、ストレスチェックを実施する必要があります(結果通知や面接指導の実施までは含みません。)

 

 Q1-2 学校の職員や地方公務員についても対象となるのでしょうか。

A 私立公立を問わず学校の職員や地方公務員についても労働安全衛生法の適用があり、今回のストレスチェック制度についても実施対象となりなります。

 

  Q1-3 当社は本社と事業所から成りますが、本社で一括して「事業者」として実施することは可能ですか。その場合、実施方法などについて事業所ごとに衛生委員会等での調査審議が必要でしょうか。

A 労働安全衛生法のほかの規定と同様に、ストレスチェック制度の規定も、事業場ごとの適用となりますが、全社共通のルールを、全社の会議体で審議するなどして定め、それを各事業場に展開するというやり方も可能です。

  ただし、法令の規定は事業場ごとの適用となりますので、全社共通のルールについても、各事業場の衛生委員会等において確認し、労働者に周知していただくとともに、事業場ごとに実施者や実施事務従事者が異なる、実施時期が異なるなど、全社で共通化できない内容がある場合は、それぞれの事業場ごとに衛生委員会等で調査審議の上、決めていただく必要があります。

  また、実施状況についての労働基準監督署への報告も各事業場が、その事業場を管轄する労働基準監督署に対して行う必要があります。

 

  Q1-4 建設現場など、同じ現場に関係請負人の労働者が働いている場合、ストレスチェックは関係請負人の労働者も含めて実施するのでしょうか、それともそれぞれの所属の会社で行うことになるのでしょうか。

A ストレスチェックの実施義務はそれぞれの事業者に適用されるので、それぞれの労働者が所属する事業場ごとに実施する必要があります。なお、義務の対象となる「常時使用する労働者が50人以上」の数え方について、建設現場の場合は、独立した事業場として機能している場合を除き、直近上位の機構(営業所や支店など)を事業場とみなし、その事業場の所属労働者数で数えることとなります。

 

  Q1-5 ストレスチェックや面接指導の費用は、事業所が負担すべきものでしょうか、そ れとも労働者にも負担させて良いのでしょうか。

A ストレスチェック及び面接指導の費用については、法で事業者にストレスチェック及び面接指導の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものです。

 

Q1-6 ストレスチェックや面接指導を受けるのに要した時間について、賃金を支払う必要がありますか。

 A 賃金の支払いについては労使で協議して決めることになりますが、労働者の健康の確保は事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、賃金を支払うことが望ましいです(一般検診と同じ扱い)。

 

Q1-7、50人未満の事業場がストレスチェック制度を実施する場合についても指針に従うこととなるのでしょうか。

A 50人未満の事業場で実施する場合についても、法令、指針等に従う必要があります。

衛生委員会等における調査審議

Q2-1 ストレスチェックを健診機関などの外部機関に委託し、産業医は共同実施者となる場合、外部機関が提案した調査票や高ストレス者選定基準について、どのように産業医の意見を聴けばよいのでしょうか。また、どのように衛生委員会等で調査審議すればいいのでしょうか。

A 外部機関から提案された調査票や選定基準について、衛生委員会等で調査審議をすることが必要です。産業医には、衛生委員会等の前にあらかじめ意見を求めるか、衛生委員会等の場で意見を求めることで差し支えありません。

ストレスチェックの実施方法

Q3-1 長期出張や長期の病休のために、ストレスチェックを受検できなかった者について、どのように取り扱うべきでしょうか。

A 業務上の都合ややむを得ない理由でストレスチェックを受けることができなかった者に対しては、別途受検の機会を設ける必要があります。長期の病休者については、ストレスチェックを実施しなくても差し支えありません。

高ストレス者の選定

Q4-1 高ストレス者の選定基準について具体的な数値は示すのでしょうか。また、事業場における選定基準の設定の仕方として上位〇%が入るように、といった目安は示すのでしょうか。

A ストレスチェック制度実施マニュアルに、職業性ストレス簡易調査票を使用した20万人のデータから、57項目及びその簡略版23項目について、高ストレス者が10%となるようにする場合の具体的な数値基準の例を示しています。ただし、各事業場における数値基準は衛生委員会等で調査審議の上で事業場毎に決めていただく必要があり、一律に目安を示すものではありません。

 

Q4-2 高ストレス者の選定基準については、事業場内で同一のものを使用するべきなのでしょうか、それとも例えば事務職と技能職といったような職種毎に基準を設定してもかまわないのでしょうか。

A 高ストレス者の選定基準を、例えば職種毎に設定することは差し支えありません。ただし、選定基準については、各事業場の衛生委員会等で調査審議した上で決定する必要があります。

受検の勧奨

Q5-1 事業者が行う受検勧奨について、安全配慮義務の観点からどのくらいの頻度、程度で受検勧奨するのが妥当なのでしょうか。

A 受検勧奨の妥当な程度はそれぞれの企業の状況によっても異なると考えられます。その方法、頻度などについては、衛生委員会等で調査審議をしていただいて決めていただきたいと思います。ただし、例えば就業規則で受検を義務付け、受検しない労働者に懲戒処分を行うような、受検を強要するようなことは行ってはいけません。

  

Q5-2 受検率が低い場合、これを理由として労働基準監督署から指導されるといったことがあるのでしょうか。

A 労働基準監督署への報告、ストレスチェック制度の実施状況を把握するためのものであり、ストレスチェックの受検率が低いことをもって指導することは考えていません。

ストレスチェック結果の通知

Q6-1 外部機関に委託して実施する場合、ストレスチェック結果は労働者の自宅あてに送付することになるのでしょうか。

A 個人ごとに、容易に内容を見られない形で封をしたものを事業場に送付して、それを事業場内で各労働者に配布します。

結果の提供に関する同意の取得

Q7-1 同意取得はストレスチェック結果の通知後ということですが、結果通知に同意確認書類を同封してもよいのでしょうか。

A 労働者本人が結果を見て同意するかどうか判断し、通知時に同封します。

 

Q7-2 高ストレス者について事業者への結果提供の同意がなく、実施者のみが結果を保有している場合に、面接指導以外の保健指導等を行わなければならないのでしょうか。

A 法的には保健指導等の実施が義務づけられているものではありませんが、高ストレスの状態で放置されないように相談対応等を行うことが望ましいと考えています。

 

Q7-3 本人が退職した後に、当該者のストレスチェック結果について、提供してほしいという要求が事業者から実施者にあった場合、その結果は本人同意を取らずに提供してよいでしょうか。

A 本人が退職した後も、個人情報としての取り扱いは変わりませんので、実施者が事業者に提供する場合には、本人の同意を取っていただく必要があります。

健康情報の取扱い

Q8-1 ストレスチェックの結果、「高ストレス者が何人いたか」「面接指導の対象者が何人いたか」のデータを実施者から事業者が取得してよいのでしょうか。

 A 集団内の高ストレス者や面接指導対象者の人数自体は、個人情報には当たらないため、事業者による取得に特段の制限はかかりませんが、小さな集団の内数など、個人が特定されるおそれがある場合は、実施者から取得することは望ましくありません。こうした情報を事業者が取得する場合は、あらかじめ衛生委員会等で取得目的、共有範囲、活用方法等について調査審議を行い、その内容について労働者に周知していただく必要があります。

労働基準監督署への報告

Q9-1 労働基準監督署への報告対象について、通常の産業医面談で終了し、ストレスチェック後の法定の面談に移行しなかった場合は、ストレスチェック制度による医師面談に該当せず、報告の必要はないということでしょうか。

A 報告いただくのは法第66条の10に基づく面接指導の実施人数であり、通常の産業医面談の人数ではありません。

 

Q9-2 ストレスチェックに関する労働基準監督署への報告様式には産業医の記名押印欄がありますが、産業医がストレスチェックに関与していない場合も記載する必要があるのでしょうか。

A 産業医の職務にはストレスチェックと面接指導に関する事項が含まれており、少なくとも報告の内容は産業医にも知っておいていただくべきものなので、産業医がストレスチェックに関与していなくても報告内容を確認の上で産業医欄に記名押印していただきたいと思います。

 

Q9-3 ストレスチェックに関する労働基準監督署への報告については罰則があるのでしょうか。また、50人未満の事業場においてストレスチェックを実施した場合には報告義務はあるのでしょうか。

A 労働基準監督署への報告は労働安全衛生法第100条に基づくものであり、違反の場合には罰則があります。50人未満の事業場については、報告義務はありません。

 

Q9-4 本社と所在地が異なる事業場において、ストレスチェックを本社の産業医を実施者として実施しましたが、労働基準監督署への報告中「検査を実施した者」はどう記入すべきでしょうか。

A 「3 外部委託先の医師、保健師、看護師、精神保健福祉士」として記入していただきたいと思います。

 

Q9-5 面接指導を労働者によって産業医が実施する場合と他の医師が実施する場合がありますが、その場合に「面接指導を実施した者」はどう記入すべきでしょうか。

A 主として面接指導を実施する者について記入していただきたいと思います。